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saii-lab

「知性のルーツを発見する」がテーマのブログ。人工知能(AI)、プログラミング教育などの幅広いトピックを扱います。

知性の進化の歴史 -後半-

人工知能 生物学

前回の続きです。

blog.saiilab.com

限定されたリソースで、いかにして汎用性の高い知性を実現するか、人工知能は動物の神経細胞ネットワークの進化の歴史に学ぶことが多いように思えます

そういった意味で、以下の順に神経細胞ネットワークの進化の歴史を考察していきたいと思います。

  1. 原生動物(アメーバ、ゾウリムシなど)
  2. 海綿動物(カイメンなど)
  3. 刺胞動物(クラゲ、サンゴ、など)
  4. 棘皮動物(ウニ、ヒトデなど)
  5. 原索動物(ホヤ、ナメクジウオなど)
  6. 脊椎動物(魚、鳥、哺乳類、ヒトなど)

本記事では、前回に引き続きこの順番に知性の進化の歴史を追っていきます。

 

 4. 棘皮動物(ウニ、ヒトデなど)

-5.42-5.1億年前?(カンブリア紀)-

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棘皮動物門はウニ、ヒトデ、ナマコ、クモヒトデ、ウミユリなどを含んでいます。体の構造は五回対象となっており、これは生物の中でも特異な構造です。

これらの動物には、原始的な中枢制御系が存在します。中枢制御装置として神経環を持ちますが、はっきりとした脳構造があるわけではありません。

口の近くにある神経環から、5方向に放射状に末梢神経が伸びており、ところどころに神経細胞が集中した神経節が存在しています。

実験から、ウニは進行方向を5分ほど記憶できることが分かってきました。ウニの神経系には記憶能力があるようです。

また、ナマコの遊泳幼生の繊毛帯に存在する神経系に、後の原索動物の神経管のにつながるヒントが隠されていることが、遺伝子レベルで報告されています。

この段階になって、中枢制御系、記憶能力と知性の萌芽が見えてきました

参考:

http://fp-page.xsrv.jp/hrp-test02/wp-content/uploads/2015/08/02_NAKAJIMA_02.pdf

http://fp-page.xsrv.jp/hrp-test02/wp-content/uploads/2015/08/02_NAKAJIMA_01.pdf

http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2011/06/3_4-nerve.pdf

神経系の起源と進化 - JSCPB wiki

5. 原索動物(ホヤ、ナメクジウオなど)

-5.42-5.1億年前?(カンブリア紀)-

原索動物は、ナメクジウオなどの頭索動物とホヤ類などの尾索動物に分かれます。

原索動物は終生、もしくは一生の間のある期間に脊索と呼ばれる体を貫く棒状の器官を持ちます。

脊索と平行に背側神経索が走っており、中枢神経系を持ちますがこの段階でもまだ脳は持っていません。

脊椎動物の最も原始的な祖先に近いと考えられている頭索動物のナメクジウオは、神経索の先端に脳室と呼ばれ、神経細胞の集中により若干膨らんでいる箇所がありますが、脳として分化しているとは見なされないようです。

この脳室は記憶や視覚情報に基づく判断をを行うことが可能で、これに基づきナメクジウオは棘皮動物と比較して的確に素早く動くことができます。

この段階になって、全身の神経系を統合する洗練された情報処理システム、脳の萌芽が見えてきました。

参考:

生物の進化

ナメクジウオゲノム解読の成功により脊椎動物の起源が明らかに — 京都大学

脳の進化と活用、その可能性を探る ~脳の進化は何で測るか~ - 生物史から、自然の摂理を読み解く

6. 脊椎動物(魚、鳥、哺乳類、ヒトなど)

-5.42-5.1億年前?(カンブリア紀)-

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原索動物から進化した脊椎動物はには、ヤツメウナギなどの無顎類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類が含まれます。

脊椎動物の中で最も原始的なヤツメウナギ、ヌタウナギなどの無顎類は古生代初期のカンブリア紀の後期、5億2000万年前~5億500万年前ころに、浅い海で登場したと考えられています。

無顎類は原始的な脳を持っています。最近の研究で脊椎動物の脳の各領域の多くが、5億以上前に誕生した無顎類、すなわち脊椎動物の歴史の初期に既に成立していることが分かってきました。

また、デボン紀(4億1600万年前~3億5900万年前)までには、顎のある有顎魚類が登場しました。有顎魚類は我々が持っている一般的な魚のイメージに近いです。

顎の登場により、顎を動かす三叉神経が発達し、なおかつ獲物に噛み付くために脳を発達させた種が生存に大幅に有利となりました。必要が生じました。これにより、脳の複雑化、巨大化が始まります。

参考:

第2章 魚類から四肢類へ - panmsato-1 ページ!

脳を進化させた顎 - 生物史から、自然の摂理を読み解く

Nature ハイライト:初期の脊椎動物の脳を見直す | Nature | Nature Research

顎から生まれる可能性 | 語り合う | JT生命誌研究館

最後に

その後、両生類、爬虫類、哺乳類、そして人類の登場などのイベントが起きますが、今回は神経細胞ネットワークの進化の歴史を追うのはここまでにしておきます。

神経細胞に多くのリソースを割くことは短期的な生存競争において必ずしも有利とは限りませんが、長期的にはより洗練された神経細胞ネットワークを持った種が出現するようです。

神経細胞ネットワークの進化は環境や動物の形態と密接に関連しています。そういう意味で、スマートフォンに適した人工知能は今後どういった進化を遂げるのでしょうか。