SAI-Lab Blog

「ヒトとAIの共生」がミッションの企業、SAI-Lab株式会社のブログです。

Udemyで「自然言語処理とチャットボット: AIによる文章生成と会話エンジン開発」を公開しました

Udemyで新コース「自然言語処理とチャットボット: AIによる文章生成と会話エンジン開発」を公開しました。

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本コースは、自然言語処理を学び、チャットボットの開発につなげる講座です。
可能な限りシンプルに、自然言語処理の本質を解説します。
RNNやLSTMを学び、テキストや対話文の生成ができるようになりましょう。

本コースに必要なPythonと数学を習得した上で、単語をベクトル化するword2vec、時系列データを扱うRNNなどを学んでいきます。
そして、夏目漱石や宮沢賢治、江戸川乱歩の文体を模倣した、テキストの自動生成を行います。
また、Seq2Seqによる対話文の自動生成技術を学び、チャットボット開発につながる対話文の自動生成を行います。

(※)本コースは2019/3/2の時点でベータリリースです。近日中に以下のセクションの追加があります。
・文章の生成
・チャットボットの開発

自然言語とは日本語や英語などの我々が普段使う言語のことですが、自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)は自然言語をコンピュータで処理する技術のことです。
自然言語処理は検索エンジン、機械翻訳、スパムフィルタ、音声アシスタント、小説の執筆や対話システムなど、様々な分野で活躍しつつあります。

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本コースの主な内容は以下の通りです。
開発環境の構築、Pythonや数学の解説動画は、他のコースのものと重複する場合があります。

自然言語処理の準備
→ 環境の用意や前処理など、自然言語処理に必要な準備を行います。

word2vec
→ 単語や文章をベクトル化する技術について学びます。

リカレントニューラルネットワーク(RNN)
→ RNNについて基礎を学び、自然言語処理につなげます。

LSTM
→ RNNの発展形であるLSTMについて学び、自然言語処理につなげます。

文章の自動生成(※近日公開)
→ Seq2Seqにより、対話文を自動生成する方法について学びます。

チャットボットの開発(※近日公開)
→ 自然言語処理の技術を、チャットボットの開発につなげる方法を学びます
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本コースでは可能な限り簡単に環境を構築できるように工夫していますが、お手元の環境によってはご自身で調べながの環境構築が必要です。
動画を見るのみでも学習が進められるようになっていますが、可能であればPythonのコードを動かしながら進めるのが望ましいです。
コードがダウンロード可能なので、これをベースにオリジナルの自然言語処理のコードを書いてみることもお勧めです。

修了した方は、学習意欲が刺激されて自然言語処理のことをさらに知りたくなっているかと思います。

以下はこのコースの割引クーポンです。ぜひ、ご活用ください。

https://www.udemy.com/ai-nlp-bot/?couponCode=NLPBOT-BLOG

書評: iOSアプリ開発 UI実装であると嬉しいレシピブック

昔、iOSの講師をしていた時の受講生だった酒井さん(@fumiyasac)からの、著書のレビュー依頼がありました。

タイトルは「iOSアプリ開発 UI実装であると嬉しいレシピブック」で、本日2/22発売です。

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技術書展への出展が執筆のきっかけになったそうです。酒井さんは元々デザイナーで、エンジニアとしての技術力もあり大変活動的な方ですが、日々のご活動がこのような形で実を結ぶことになりとても素晴らしいです。

酒井さんはアプリのUIに大変造詣が深く、「UI番長」とも呼ばれてたりするのですが、この本はこれまでサンプル開発や実務の中で培ったノウハウ等から、UI構築をする上で重要な実装ポイントやアイデアを紹介しています。

実例として掲載されているのは、

「サイドナビゲーション型のUI」

「写真を拡大する画面遷移UI」

などの具体的かつ実践的なサンプルです。

これらにより、UI構築をする上で重要な実装ポイントがこの本を通して身につくかと思います。

読了後は、様々なUIのアイディアが自然と頭に思い浮かぶようになっているのではないでしょうか。


対象となる読者はこれからiOS アプリを実戦レベルで開発していこうと考えている方かと思いますが、特にUI実装や表現に関する部分にさらなる磨きをかけていきたい方に向いているかと思います。基本的なSwiftの文法は解説していませんので、その点は注意が必要です。

簡単なようで意外と難しく奥が深いUIの世界、この本はその深淵を覗かせてくれるかと思います。

 

SAI-Lab株式会社、設立から1年が過ぎました

2019年2/5で、SAI-Lab株式会社を設立してから1年になります。
なんとか、最初の1年を乗り切ることができました。

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この一年、書籍の執筆やUdemyコースのリリース、企業研修やE検定の講師、大学での公演、技術イベントでの登壇など様々な活動を行ってきましたが、反省点も多くあります。
今後もミッションである「ヒトとAIの共生」を見据えて、AIに関する研究と教育を行ってきますので、皆様今後ともよろしくお願いいたします。

今年度の課題は、教育のみではなく研究の方でも実績を残すことです。

読書録: 脳はいいかげんにできている


神経学者デイヴィッド・J. リンデンの著書、「脳はいいかげんにできている」を久々に読みました。

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この本によれば、脳には以下の進化上の制約があるとのことです。

  • 脳をゼロから設計し直すことはできない。必ず既存のものに新たな部分を付け加える、という方法を採らなくてはならない。
  • 脳に一旦持たせてしまった機能を「オフ」にするのは非常に難しい。たとえ、その機能が負の効果をもたらすような状況でも、ななかな「オフ」にはできない。
  • 脳の基本をなすプロセッサであるニューロンは処理速度が遅く、信頼性も低く、信号の周波数帯域も低い。

すなわち、脳は増築を繰り返した建造物のようなものであり、最適化されたものであるとはとても言えません。

例えば産業用のロボットであれば、目的に沿ってプログラムは最適化されますが、脳はそのような進化を遂げてはいないようです。

信頼性が低く、処理速度も遅いニューロンの、膨大な集合体であり、進化の過程でパフェのように次々と外側に層が足されていった構造をしています。

これを短い言葉で表すと、「冗長」「つぎはぎ」などがしっかりとくるのではないでしょうか。

現在、人工知能のメインストリームは目的に沿った最適化ですが、あえて冗長にすることでより脳に近いものができるかもしれません。

「意識はいつ生まれるのか」で扱っていた「意識」は、この冗長性が重要に思えます。

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読書録:「意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論」

統合情報理論の提唱者による本。

意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論

意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論

 

 ネットワークが分断され過ぎでもなく、密すぎでもいないときネットワークには複雑な因果関係が生まれ、それが「意識」の源泉になっていることを理論、実験ともに示しています。
磁場により脳に直接与えた刺激は、「意識がある」状態では脳内で複雑な因果関係を伴うパターンのトリガーとなり、「意識がない」状態では単純なパターンしか起こしません。
それのみが意識の原因とは限らないようにも思えますが、巨大なネットワークにおける複雑な因果関係が意識の源泉であるならば、コンピュータ上にこれを再現することは困難で無いようにも思えます。「人工知能」から「人工意識」へ、考えをよりコアな方向へ向ける必要性を感じました。