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「知性のルーツを発見する」がテーマのブログ。人工知能(AI)、プログラミング教育などの幅広いトピックを扱います。

読書録: シンギュラリティは近い

読書 人工知能

レイ・カーツワイルの「シンギュラリティは近い」を読了しました。

シンギュラリティとは人工知能が人間の知性を超える到達点のことですが、そのような未来は本当に訪れるのでしょうか。また、訪れるとすればどのような未来が我々を待っているのでしょうか。

以下、本からの引用と共に個人的な見解を述べたいと思います。

未来予測を立てるときには、別の種類の間違いを犯しやすい。今日のあるひとつの傾向から導かれる変化にだけ注目し、他のことがらはなにひとつとして変わらない、としてしまうことだ。 

これまでの人類の歴史において、生涯のうちにおきる世界の変化はごく僅かなものでした。しかしながら、変化が変化を生むため世界の変化の速度は指数関数的に大きくなってきています。我々がこれから体験するものは、我々が日常の体験から予想するものを大幅に上回るものとなるでしょう。

いずれ人間は非生物的な存在に意識があることを認めるようになると、わたしは信じて疑わない。なぜなら、最終的に非生物的な存在は、意識の手がかりとして現在人間がし、情動やその他の主観的経験と結びつけているものをすべて手に入れるからだ。

人が意識と呼ぶものは、コンピュータのプログラムに宿るのでしょうか。意識の本質が、神経細胞が持つシンプルな機能の集合体であるならば、それも可能であるかもしれません。意識を持つ、ということが人や高等生物の専売特許でなくなる可能性が示唆されています。

パターンの力と持続性こそが、生命と知性を支えているのだ。パターンは、それを構成している物質よりもはるかに重要である。

人の体を構成している分子や原子は1-数ヶ月で全て入れ替わります。生命と知性の本質はマテリアルではなく、川の流れにできた渦のようなパターンではないでしょうか。特に、DNAの自己複製とコピーミスを繰り返すパターン、神経細胞の記憶やコンピューティングを可能とするネットワークが生命と知性の根幹かと思います。

そして人類の文明は、われわれが遭遇する物言わぬ物質とエネルギーを、崇高でインテリジェントな──すなわち、超越的な──物質とエネルギーに転換しながら、外へ外へと拡張していくだろう。それゆえある意味、シンギュラリティは最終的に宇宙を魂で満たす、と言うこともできるのだ。

シンギュラリティとはある意味、荒涼とした宇宙を知性というパターンで満たす過程なのかもしれません。そのような状態を現在の我々が想像することは難しいですが、宇宙は意識や魂といった定義を超越したパターンに満たされるようになるのかもしれません。

 

人間が観測できる範囲の宇宙では、以下の順でパターンが貴重であるように思えます。

1. 知性が形成するパターン(都市や電子回路など)

2. 生命が形成するパターン(神経細胞ネットワークや亀の甲羅など)

3. 非生命が形成するパターン(雪の結晶や銀河同士のネットワークなど)

宇宙が年齢を経るとともに、上位のパターンが広がり荒涼とした宇宙に秩序がもたらされていくようにも思えます。 

 

今回の本では、未来も人間中心の世界が続くとの主張がありましたが、それは現在生命の定義に入らないものに知性が宿るかどうかによるかと思います。知性の本質がパターンであるならば、人間が世界の中心である必然性はありません。

もちろん、人の知性や意識はまだ解明されていない謎が多く、本当に機械で再現できるかどうかは分かりません。

しかしながら、知性というものが意外とシンプルに構築可能であるとわかった場合、人類は世界の主役を自ら作り出した知性に譲り渡す、という可能性もあるわけです。

新たな知性との共存は、人類にとって次第に無視できない課題になっていくかと思います。