2018.7.23-27に開催された人工生命(ALife)の国際会議、ALIFE2018に参加しました。
会場はお台場の日本科学未来館です。
人工知能が生命が持つ知性を模倣する分野であるのに対して、人工生命は生命現象そのものを模倣する分野です。
人工生命はまだそれほど知名度は高くないですが、汎用人工知能を育むための身体性と環境を考える上で重要だと個人的に考えています。
会議の前日のプリカンファレンスでは、アンドロイドによるオペラ「Scary Beauty」が上演されました。
Android Opera “Scary Beauty” Keiichiro Shibuya /アンドロイド・オペラ 「Scary Beauty」 渋谷慶一郎 日本科学未来館公演
動きや表情で多数の演奏者と表現豊かにコミュニケーションする様子に、ヒトと機械の境界線って何?と改めて考えさせられました。
数々の著名な先生による講演がありましたが、特に面白かったのは大阪大学の石黒先生によるアンドロイドのお話です。
ロボットが、我々の生活に当たり前のように溶け込んでいくお話でした。
(以下はALife2018の動画ではありません。)
Introducing androids Erica and Ibuki, by Hiroshi Ishiguro
あと10年もしたら、機械やロボットに対する抵抗感は、いまよりもずっと低いものになる、機械との共生は当たり前のことになっているのでしょうね。
また、人工生命のサマースクールに参加したのですが、この中でevolutionary roboticsという分野の専門家、Josh Bongard先生によるワークショップがありました。
ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを組み合わせた非常に興味深いデモがあったのですが、以下の内容です。
Evolving Soft Robots with Multiple Materials (muscle, bone, etc.)
バーチャルな生命体は多数のキューブで構成されているのですが、この各キューブは筋肉に相当します。
そして、これらの筋肉はニューラルネットワークが制御します。
ニューラルネットワーク を世代を重ねて進化させることで、この生命体は次第に動物的な動きをするようになります。
改めて、ニューラルネットワークの表現力に驚かされました。
その他にも、人工生命のサマースクールと人工生命ソフトウェアAvida-EDのワークショップにも参加しました。
レインボーブリッジが見える会場、そしてランチも素晴らしかったです。
現在の人工知能を汎用人工知能につなげるためには、生命とは何か、知性とは何かに立ち戻る必要があるようにも思えます。そのような意味で、今回の会議はコンピュータ上で生命を再現するプロフェッショナルたちに出会える貴重な場でした。